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2026年は午年[うまどし]、さらにことしは60年に一度の丙午[ひのえうま]で、この年は勢いがあって活動的な一年になるといわれています。さらに馬といえば、サラブレッドは馬場を駆ける姿が美しいですし、白馬は王子様を乗せてきてくれたりするとか(しないとか)、とにかく何かとロマンを感じさせてくれる動物です。
さて、例年このページでは、村上市とことしの十二支に関するお話を書いていますが、ことしは馬ということで、岩船大祭の“白駒”について話を聞いてきました。

毎年10月18日・19日に執り行われる岩船大祭。石船神社[いわふね-じんじゃ]の例大祭で、新潟県無形民俗文化財にも指定されています。石船神社の御神霊を神輿に移して、岩船のまちを神幸するお旅神事。先頭を行く先太鼓が道をはらい浄め、絢爛豪華な9台の屋台(山車)が続きます。その屋台の一つ、横新町[よこしんまち]の屋台の乗せ物*が木彫の白馬、御神馬[ごしんめ](通称:白駒)です。
*屋台の二階部分に載せた飾りのこと

1913(大正2)年、それまで同じ屋台を引いていた惣新町[そうしんまち]から独立し、祭りに参加することにした横新町。屋台の乗せ物を御神馬とし、当初は張り子で、現在の木彫りは1920(大正9)年に同町内の斎藤寅吉氏によって製作されました。
御神馬とは、神様の乗り物として神社に奉納された馬*のことで、かつては土地の有力者が戦勝祈願や大願成就の思いを込めて納めていました。横新町の御神馬も石船神社に奉納され、明神丸**とともに「御霊[みたま]うつし」や「とも山[やま]」***といった神事にも供奉[ぐぶ]します。
*馬の世話が負担となることから、御神馬は絵馬へ姿を変えたといわれています
**岸見寺町[がんげんじまち]の屋台の乗せ物で通称「御舟様」。石船神社の祭神・饒速日命[にぎはやひのみこと]が乗ってきた船をかたどっています
***御霊うつしは、神社の御神霊を神輿へ移すとともに、明神丸や御神馬に神の依り代として幣束[へいそく]を授ける神事。とも山は、神輿に移した御神霊を神社へ還す神事。とも(艫)は船尾のことをいいます
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横新町の屋台の乗せ物が御神馬になった経緯を、横新町区長・船山三喜雄[ふなやま-みきお]さんに尋ねたところ、昔のことなので詳細は分からないとしながらも、当時から横新町の若い人の間には進取の気性があり、乗せ物の御神馬を石船神社に奉納することにより、神事を盛り上げようと考えたのではないかとのことでした。
横新町の屋台は、1987(昭和62)年に作り替えましたが、実はその作業はまだ完了していません。午年のことし、屋台に漆や金箔を施してようやく完成する予定です。船山さんは、「どこの祭りでもそうですが、横新町も若い担い手が不足しています。大祭当日や屋台完成に向けて応援していただけるとうれしいです」と話します。約40年の時を経て、ようやく作り替えが終わる横新町の屋台。豪奢で知られる岩船大祭の屋台の中でも、ことしはひときわ注目を集めることでしょう。
村上市観光情報発信基地
文:すがいなお