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記事中で紹介している体験料金・店舗情報等は
取材当時のものです。あらかじめご了承ください。

 

2022/12/25

[塩引き鮭づくり]「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」に行ってみた!

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⚠ご注意ください
下記の体験レポートは2022(令和4)年11月に実施されたときのものです。

 

村上市に塩引き鮭をつくる時期がやってきました。村上には100種類を超える鮭料理があるといわれており、その料理の代表的なものが塩引き鮭です。毎年、イヨボヤ会館では「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」(以下、道場)を開催し、村上の伝統料理・塩引き鮭の製法を伝承しています。

塩引き鮭について
https://www.sake3.com/iyoboya/116

イヨボヤ会館
https://www.sake3.com/spot/163

 

この道場では、生鮭を丸ごと1本使って、下ごしらえ~仕込み(塩を引く)までを体験することができます。また、道場に参加してレクチャーを受けると、塩引き鮭づくりの「段位」がもらえるとか。例年、多くの受講希望者がいて、早い段階で定員いっぱいになってしまう大人気講座です。今回は、この講座に参加して、村上の伝統料理・塩引き鮭づくりを体験してきました!
(取材日:2022年11月18日)

 


 

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道場が開催されるのはこちらの建物、イヨボヤ会館向かって左側奥にあります。着衣などの準備もあるので、開始10分前には集合・準備開始です。会場に着くと作業用のエプロンがもらえるので、みんなで装着。長靴を履き、講師である道場の師範から塩引き鮭づくりのレクチャーを受けます。

道場初日におじゃましましたが、今回は初めて参加された方がほとんどとのこと。普段は県外の方も多くいらっしゃるとか。講習では、石井師範をメインに、髙橋師範・荒尾スタッフの3人にレクチャーしていただきました。まずは石井師範が生鮭を使い、下ごしらえ~仕込み(塩を引く)までの一連の工程を実演しながら解説。みんなで実際に見ながら手順を覚えていきます。塩引き鮭のつくり方は、家庭や人によってさまざま。今回教えていただく「越後村上三ノ丸流」は、村上市役所の職員が始めたものとのことで、新鮮なオス鮭を使い、姿・形よく作るのが三ノ丸流だそうです。

 

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卵(はらこ*)に栄養が取られてしまうメスより、ハラス(腹の部分)が厚いオスを使います。
*村上の方言でイクラのこと

 

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必ず軍手を着け、鮭の歯やエラ、包丁などで手をケガしないように気を付けて作業します。

 

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初参加&初めて鮭をさばく方も多く、師範の手元を見つめて懸命に手順を覚えます!

 

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包丁を使う場面が多いので、小学生が受講する場合は保護者と一緒に参加します。

 

全体的な工程は以下の通り。
※講習後、手順書ももらえます

下ごしらえ

頭部のぬめりを専用のスポンジでこすって取る
包丁を使い、各ヒレ(背ビレ・胸ビレ・腹ビレ・尻ビレ・尾ビレ)のぬめりを取る
包丁を使い、頭部から尾に向かって魚体のぬめりを取る。ひっくり返して反対側も同様に(※1)
口元の内膜、口の中の上下のアギ(エラの付け根にあります)を切り、エラを開いて内側を切りエラを取る
エラの内側から、目の裏側の筋を切る(※2)。エラの残りがあれば一緒に取り出す
肛門から腹ビレの先まで腹を裂き、一部(2cmくらい)残して(※3)、頭部の胸ビレまで切る
エラと内臓の間の隔壁を切りつつ、内臓を全て取り出す
背ワタの両側に切り込みを入れ、スプーンを使って全てかき出す
頭部側から尾ビレに向かって背骨の血管を切り、血液を取る
水洗いし、頭部の付け根から尾ビレに向かって手で押しながら血を出すように洗い、内側もできるだけ血液を残さないように洗う(※4)
まな板の上をきれいにしたら鮭にタオルを被せ、ひっくり返して上にもう一枚タオルを重ねて魚体を丁寧に拭く。また、スプーンの柄尻にタオルを巻き、内側の背骨に残った血液を拭き取る

※1 ぬめりは取れば取るほど出てくるので、「これくらいかな?」というところでストップします
※2 筋を切るのは、干した時に眼球がくぼむのを防ぐため。できるだけ鮭の見た目が生きた状態から変わらないようにする工夫です
※3 腹の一部を切らずに残すのは、村上が城下町であったため「切腹」を嫌うことからきています
※4 血液が残っていると、臭いが出る原因になってしまうので注意して取り除きます

鮭を愛する村上では、頭の先から内臓、尾まで全てを料理・加工して食べる独特の食文化があります。講習で腹から取り出した白子やどんびこ(心臓)、なわた(内臓)等も希望があれば持ち帰ることができます。

 

仕込み(塩を引く)※体験での工程まで

頭部と各ヒレに塩をすり込む
目の裏側に塩を入れる
魚体の尾→頭に向かって、うろこに逆らうように塩をすり込む
腹の中に塩を入れて軽くすり込む。背骨部分にも少し入れる
塩の量は魚体の7~10%(今回は300g使用)とする。すり込む際にこぼれた塩も全て集め、再度魚体にすり込んで塩引き作業は完了
ビニール袋に鮭を入れてもらい、箱(底に穴を開けた発泡スチロール)に寝かせて持ち帰る

 

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道場では上記工程までを体験。その後は鮭をそれぞれ持ち帰ります。持ち帰った鮭は、それぞれで仕上げ作業をします。

 

自宅での仕上げ作業

ビニール袋から取り出し、箱に入れたまま、水はけがよくて気温の低いところへ置く(※5)
3日後くらいに魚体をひっくり返し、さらに3~4日置く
たっぷりの水に浸けて、18時間くらいかけて流水で塩を抜く。魚体が生の時の柔らかさに戻ったら、流水でぬめりを取る時と同じ作業をして、きれいに仕上げる
尾ビレの付け根を縄でしばり、吊るせるようにする
腹の裂いた部分に割り箸を入れて固定し、腹の中もよく乾くようにする
北側の日陰で風通しのいいところへ、鮭の頭を下にして(※6)干す

※5 魚体から水分が出てくるので、汚れてもいい場所で板などでふたをしておきます
※6 頭を上にすると「首吊り」を連想させるため、鮭を大切にする村上では頭を下にして吊るします

吊るし始めて15~20日経ったら食べ頃とのことです。自宅で作業ができない!という方には、別途料金でイヨボヤ会館が仕上げ作業~自宅への発送もしてくれます。

 

仕上げ作業についても教えていただきました。

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塩漬け~塩抜き後、水で洗い、ぬめりを取る時と同じ作業をして、きれいに仕上げます。

 

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腹を開いて割り箸で固定し、あとは吊るして干すだけ。

 

なかなか一回で全ての工程を覚えるのは難しいのですが、途中で分からなくなったら、師範をお呼びすれば、その都度マンツーマン教えていただけるので安心して受講できます。

 


 

さて、師範のレクチャーが終わったらいよいよ体験スタートです。この日に用意されていた生鮭は、岩船港で今朝捕れたばかりの地物! 大きさは3kg後半(3.8kgくらい?)とのこと。

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立派な鮭にビックリ!!

教えてもらった通り、魚体のぬめりをしっかり取った後、エラや白子などの内臓を取り出して、水できれいに洗います。師範の手さばきを見た直後ですが、これがなかなか難しい! 特にエラの部分を取り除くのが慣れない作業でした。口の中やエラの構造がよく分からず、なかなかスムーズにいきません。

 

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レクチャーが終わると、調理台の上にはすでに鮭が用意されていました。

分からなくなったら、都度(というか、かなりの回数助けていただきました。すみません!笑)師範にお聞きして、四苦八苦しつつ内臓を取り出し、何とか水できれいに魚体を洗うところまで進めました。タオルで水気をきれいに拭いたら、いよいよ塩を引く作業です。

 

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使用する塩は、魚体の重さの10%程度の量。今回は300gとのこと。

 

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いざ、塩を振ってすり込みます。

ウロコに逆らうように、尾→頭の方に向かって塩をすり込みます。腹の内側やエラの内側、目の裏、ヒレにも塩を入れます。師範にすり込み方もマンツーマンで教えていただきましたが、ウロコの間にもしっかり塩が入るように、力を入れて押すようにするのがポイントとのこと。

 

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塩が入るように、しっかりすり込みます!

 

塩を全てすり込んだら、塩を引く作業は完了!

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何とか完成です!

 

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作業が完了した鮭は、すぐにビニール袋に入れ、発泡スチロールの魚箱に収めて持ち帰り用にしていただきました。持ち帰った後は、教えていただいたように仕上げの作業を自宅で行います。どんな干し上がりになるのか、今から楽しみです。

 

体験の様子を動画にもまとめてみましたよ~!

 

かなり師範に手助けしていただいたので、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、師範の皆さんはとてもお優しく、毎回丁寧に教えてくださいました。慣れない作業も多く、不安な面もありましたが、無事に作業を終えることができました。

 

受講者全員の作業が完了したら、閉会式と段位の授与式が行われます。

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道場の最後は認定証授与式!

 

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賞状もいただけます。段位は一年ごとに一段ずつ高くなるそう。目指せ10段!

 


 

越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場
補足&まとめ

●1講習は2時間程度(師範による実演40分程度を含む)です。
●定員は平日1講習14名、土・日曜日と祝日は1講習10名です。
※新型コロナウイルス感染症の流行状況によって変わる場合があります
●当日の持ち物は、軍手・タオル2枚・長靴をご用意ください。また、道場内ではマスクの着用をお願いします。
●受講料は一人6,000円(生鮭代込み)です。
※2022年12月時点での料金です。受講日2日前からキャンセル料(全額)がかかります
※キャンセルの前にできるだけ代理の方の参加をご検討ください。当日お連れ様がキャンセルされた場合、生鮭の持ち帰りはできません
●別途料金で仕上げ加工の依頼ができます(5,000円・送料込)。ご希望の方はあらかじめお申し込みください。
※2022年12月時点での料金です
●受講希望日の1週間前までにイヨボヤ会館までお申し込みください。グループでの参加の場合は参加者名簿を添えてください。
※2022(令和4)年度の「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」は終了しています
●段位をお持ちの方はお申し込み時にお知らせください。昇段後の段位の認定証をお渡しします。
●使い捨ての割烹着型エプロンも用意されていますが、加工の際に服が汚れる場合があります。また、道場内は暖房がないため、作業可能な温かい服装でお越しください。
●刃物を扱いますので、酒気帯びでのご参加はご遠慮ください。
●取材などの特別な場合を除き、受講中の見学はお断りしています。
●一人一尾作製します。生鮭の持ち込みはお断りしています。

 

村上の代表的な伝統料理である塩引き鮭。村上では、捕れた鮭で塩引き鮭をつくり、年夜のごちそうとして食べる、古くからの風習があります。なかなか作り方を学ぶ機会がない塩引き鮭ですが、自らの手で作って食べる塩引き鮭の味わいは格別です。皆様も「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」で塩引き鮭をつくって、特別な年夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 


 

「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」に関するお問い合わせはイヨボヤ会館まで。

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イヨボヤ会館
所在地 村上市塩町13-34
電話番号 0254-52-7117
営業時間 9:00~16:30
休館日 年末年始(12/28~1/4)
※年始は臨時開館する場合があります
駐車場 普通車134台・バス5台
入館料 大人600円・小中高300円

公式サイト
https://www.iyoboya.jp/

 

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