2022年1月上旬、村上木彫堆朱会館で箸の木彫体験を楽しんだわれわれ3人。
木彫体験当日の様子はこちら。
http://www.sake3.com/activity/97
あれから2ヵ月が経ち、ついにMy箸が手元に届きました! 自分たちで模様を彫り、塗師が漆を塗って仕上げてくれた箸、感慨もひとしおです!! なぜでしょう、この箸で食べるご飯は2割増しでおいしく感じます。
IKEA効果(自分で作ったものに対して愛着を感じ、その価値を過大評価してしまう認知バイアスのこと)かな?
わが家の白飯(岩船産コシヒカリ)。
さて、こうして無事に届いた箸ですが、自分たちの手を離れたあとの工程が気になりませんか? わたし、気になります!(米澤穂信『氷菓』より)ということで、今回は木彫体験のその後の工程を知るため、塗りを担当する塗師のもとを訪ねました。
体験後、作品(箸・急須台)はそのまま持ち帰ることも可能ですが、別途料金(箸1,200円/急須台2,000円)を支払うと塗師が漆を塗って仕上げ・自宅まで発送してくれます。
撮影のためマスクを外しています。
木彫体験の塗りを担当するのは、村上堆朱事業協同組合に所属する塗師です。今回、われわれが彫った箸の塗りは小杉漆器店の小杉喜世子(きせこ)さんが担当してくれました。
※小杉漆器店では、通常は作業見学を行っておりません。今回は取材のため、特別に作業を見せていただきました。
小杉漆器店の店内の様子。
小杉漆器店は、村上木彫堆朱の店では一番の老舗。喜世子さんは、14代目店主の小杉和也さん(塗りの伝統工芸士)の奥様としてともに働き、主にネックレスやブローチといったアクセサリー類や小間物などの塗りを担当しています。
小杉漆器店の公式サイトはこちら。
https://tuishu.jp/
村上木彫堆朱の塗りの工程(木彫体験の箸の場合)を簡単に紹介します。
1,木賊(とくさ)がけ
彫られたものにサンドペーパー(かつてはトクサという植物を用いた)をかけて研磨する。
2,木固め
生漆に紅殻(べんがら/赤色顔料)を少量混ぜたものを塗り込み、木地の耐久性を強くする。
3,中塗り
彫刻された模様を埋めてしまわぬよう、タンポやはけを使って朱漆を塗る。
4,中塗り研ぎ
村上砥石と呼ばれるキメの細かい砥石や水やすりを使って、塗り面を水研ぎする。
5,上塗り
中塗り同様、タンポやはけを使ってさらに朱漆を塗る。
作品によって工程は異なります。
村上木彫堆朱の工程は公式サイトでご覧ください。
https://tsuishukumiai.jp/step/
この日は中塗り研ぎまで終わっていたので、上塗りの様子を見せていただきました。
固さを調整した朱漆を作業台に出します。
ゴム製のタンポを使い、彫った模様を漆で埋めないよう、トントントンと手早く塗っていきます。
次に、はけを使って表面を整え、漆の厚みを均一にします。
作業の様子を動画でもご覧ください。
本日の作業はここまでです。
箸を立てているのは古米を入れた木桶。昔からのやり方だそうです。
箸を塗る場合、持つ部分を確保するため、上下を2回に分けて塗ります。漆がしっかり固着するまで次の作業は行えないことから、手元に届くまでに時間がかかるのですね。こんなに手間がかかっていると知ると、さらに愛着が湧きます。
木地師(堆朱のベースになる木地を作る職人)・彫師・塗師と匠たちの手を渡り歩き、さまざまな工程を経てようやく完成する村上木彫堆朱。木彫体験を通じて、さらにその奥深さを知ることができました。皆さんもぜひ、木彫体験を楽しんで、村上木彫堆朱の魅力を知ってください。
村上木彫堆朱会館
所在地 村上市松原町3-1-17
電話番号 0254-53-1745
開館時間 10:00~16:00
休館日 不定休
駐車場 5台
公式サイト
https://tsuishukumiai.jp/
村上木彫堆朱の木彫体験
●体験料金
・箸 …800円
※塗りをお願いする場合は別途1,200円がかかります。
・急須台 …2,000円
※塗りをお願いする場合は別途2,000円がかかります。
●所用時間
・箸 …1時間程度
・急須台 …2時間程度