岩船大祭は、石船[いわふね]神社の祭礼で、毎年10月18日(宵宮)・19日(本祭)に行われます。航海の安全と大漁、まちの安全を祈願する、港町にふさわしい勇壮な祭礼です。歴史も古く、絢爛華麗な屋台を中心としており、昭和63(1988)年3月には、新潟県無形民俗文化財に指定されました。
屋台の曳行は毎年交互に、上岩船と下岩船とで順序を替えて行います。上岩船先番の場合は、岸見寺町・地蔵町・上大町・上町・上浜町・惣新町・下大町・下浜町・横新町の順序。下岩船先番の場合は、岸見寺町・地蔵町・下大町・下浜町・上大町・上町・上浜町・惣新町・横新町の順序になります。
岩船大祭は、神様が「石の舟」でこの地にお越しになったという伝説に由来する、石船(いわふね)神社の例大祭です。また、「舟囲い」ともいわれ、その年の海の恵み・山の恵み・あらゆる生業[なりわい]に感謝する、この地方の一年を締めくくる秋祭りでもあります。
岩船大祭の起源については不明ですが、中世時代の文書に、祭礼行事が記載されていることから、五百年以上の歴史があるといえます。
岩船大祭は、祭神が岩船の地にお着きになった日として、陰暦(月の満ち欠けをもとに作った暦)の9月19日を祭礼日としてきました。この時期は、冬に向かって海が荒れる頃でもあります。海で仕事をしていた岩船の人々の、一年の感謝の気持ちと「遭難を防ぎたい」という願いが現れたものでしょう。
明治5(1872)年、太陽暦が採用された後も祭礼は9月19日に行われました。時期としては、今より約1カ月早かったわけです。秋の収穫の時期にも早すぎることもあって、岩船大祭を行うのには不都合なことが多かったようです。
そんな中、明治11(1878)年9月19日に明治天皇が新発田[しばた]へご巡行になることになり、祭りと重なるので1カ月遅らせて、祭礼を10月19日に行いました。これ以後、祭礼は昔とほぼ同じ時季となる10月19日に行われるようになったといわれています。