村上の秋

うだるような暑さが過ぎ去った安堵感、寒くて長い冬を迎える一抹の寂しさや郷愁の念からくるのかもしれないが、秋は寂寥[せきりょう]感にかられることが多い。
しかしながら、村上の秋はそんじょそこらの秋とはちょっと違うのである。むしろ、ここからが村上の食の真骨頂、本領発揮。日本一食べる地域といわれる鮭の季節がいよいよ始まる。
母なる三面川[みおもてがわ]に、赤や黄色に色付いた折り紙、紅葉がはらはらと舞い落ちる間隙[かんげき]を縫って、秋のやさしい光を銀鱗[ぎんりん]にゆらゆらと乱反射させ、ぐいぐいと鮭が遡上してくる。村上の美しくて、おいしい情景はここに極まる。