(取材日:2024年9月19日)
村上木彫堆朱に従事する女性職人で結成された華からくさの会から、村上木彫堆朱の防災ホイッスル「レスぴー」が発表されました。
防災ホイッスルとは、災害等で身動きが取れなくなってしまったとき、助けを求める声を発する代わりに吹く笛のこと。大声を出し続けるより体力が温存できるため、子どもや女性、高齢者は特に身に着けていたい防災グッズです。
しかし、常から防災ホイッスルを身に着けているのは、なかなかおっくうなものですよね。華からくさの会では、サイズや重さ、吹いたときの音量にもこだわった、いつでも身に着けていたくなる防災ホイッスルに仕上げました。
華からくさの会のメンバー(左から、髙橋郁さん・小杉喜世子さん・池野律子さん・佐藤美恵子さん)
華からくさの会が防災ホイッスルをテーマに動き出したのは、ことし1月に起きた地震後、お客様から「いつも身に着けていられる防災ホイッスルがあればいいのに」という話があったからでした。被災地が同じ漆器の産地であったことから、メンバー内でも防災意識が高まっており、すぐに取りかかることに。
木地はさらに試作を重ね、より小さく軽量化し、音もよく出るように工夫しています
まずはホイッスルの木地を用意するところからのスタート。メンバーの一人、佐藤美恵子さんの夫が協力してくれ、木地を作成してくれることに。素材やサイズ、音の鳴り方など、試行錯誤を重ね、ようやく木地の試作が出来上がりました。
試作は、直径15mm×長さ82mmの円筒形。そこへ会の彫師・塗師がそれぞれ工夫をこらし、ようやく村上木彫堆朱の防災ホイッスルのサンプルが完成しました。
漆を塗り重ね、乾燥中の「レスぴー」
彫師の髙橋郁さんは、木地の試作に村上木彫堆朱の伝統的な図柄である桜、地紋「菱菊」を簡略化したものをそれぞれ彫りました。小さな木地の曲面に図柄を彫るのは苦労したそう。また塗師の池野律子さんも、小さな彫りや木地の内側にも漆を塗って、美しく仕上げようと今も塗り方を模索しています。
漆には抗菌効果があるのもうれしいポイント
お客様の声から約半年、ついに完成した村上木彫堆朱の防災ホイッスル。名称は、メンバー同士の話し合いで「レスぴー」に決まりました。普段から身に着けやすいデザインで、いざというときには頼りになる防災グッズです。村上木彫堆朱の製品なので、使うほどに艶が出て愛着のあるものになっていきます。皆さんの生活にもぜひ採り入れていただきたいです。
村上木彫堆朱の防災ホイッスル「レスぴー」は下記店舗で取り扱っています(価格は8,800円前後です)
●池野漆工芸(村上市長井町4-17)
●小杉漆器店(村上市長井町1-9)
●川村庚堂漆器店(村上市片町5-7)