現在の村上に伝わる数々の鮭料理。数ある鮭の料理法からも、村上の歴史が垣間見えます。
食品成分表によると、通常、生鮭の廃棄率は3枚下ろしの場合、頭部・内臓・骨・ひれ等を廃棄したとして約40%とされています。しかし、村上の鮭の料理法で調理すれば、鮭の廃棄率は10%以下に抑えられるといわれています。
現在の村上には、鮭の料理法が100種類以上も残されています。塩引き鮭、鮭の酒びたしをはじめとして、身を白焼きにし、しょうゆだれに漬け込む焼き漬け。身を昆布で巻いて、しょうゆだれで煮込む昆布巻きなどが有名です。
さらに身だけではなく、普段は捨ててしまう部分を使う料理として、内臓を野菜と一緒にみそ汁にするなわた汁や鮭の心臓(どんびこ)を集め、甘辛く煮たどんびこ煮、鮭のすり身に刻んだ皮やイクラを入れて作ったつみれをすまし汁に浮かべる卵皮煮(こかわに)などもあります。
「鮭をおいしく食べたい」という村上の人々の思いが、骨のひとかけらも残さず食べる、これらの料理法を生み出し、受け継がれてきたのだといえます。
村上の人たちは、鮭をこよなく愛しています。現在では、学校で塩引き鮭づくり体験や鮭の稚魚の放流なども授業に取り入れています。また、鮭を使った特産もたくさん作られており、村上のお土産としても人気です。
昔から引き継がれてきた、鮭の文化を大切にし、発展させていこうという強い思いが、村上の人たちには感じられます。
参考文献
『村上の鮭物語』(著/イヨボヤ会館 館長 岡村 博)
『三面川サケ物語』(著/須藤 和夫)
『鮭の子ものがたり』(著/(財)村上城跡保存育英会)