城下町・村上では、城を守るための軍事的防衛機能を重視した造り「武者隠し」を今も見ることができます。
武者隠しとは、クランクのような鍵型の道や城の入り口付近に設けられた隠れ場所、または城内の一之間脇に造られた護衛が隠れるための部屋を指します。しかし、村上のまちに残る武者隠しは、これとはちょっと異なります。
一般的に、建物は道に対して平行に造られます。しかし、村上では城下町建設当初から、道に対して斜めに敷地割がなされました。そのため、建物も敷地の形に合わせ、道に対して斜めに造られることになりました。こうして、真っすぐな道の両端にあまたの死角が造られました。城下で敵に遭った時、家の陰に隠れて敵を迎え撃つために設けられたもので、これを村上では武者隠しと呼びました。
まちづくりの計画段階でこの武者隠しを考案し、敷地割の方法から変えてしまうという画期的なアイデアには、現代のわれわれも脱帽してしまいます。現在では、家々の建て替えのためにずいぶん少なくなってしまいましたが、注意しながら村上のまちを行けば、歩道の端と建物までの隙間に三角の空間を見つけることができるはず。この空間を見つけたら、村上城を守る武士になりきって、サササッと身を隠してみてください。