村上市大町の町屋
村上のまちに今なお残る町屋。現役の店舗や住居として利用され、内部を公開している店もあり、まち巡りでも人気です。
村上の町屋は、通りに面して屋根が下がる「平入り」(切妻)の造りが特徴。両脇の家と密着して建てられているため、隣家と外壁が重なり合い、一続きになっている建物もあり、通りから眺めると何軒かの家が一つの建物のようにも見えます。
さて、この村上の町屋、中はどんなふうになっているのでしょう。狭い間口をくぐり町屋の内部へ進むと、江戸~明治期にタイムスリップしたような不思議な感覚に陥るはず。店舗部分の奥には「うなぎの寝床」といわれる長い通り土間が続いています。藩政時代は間口の広さで税金が決められていたため、町屋の間口は狭く、その分奥へ奥へと長い造りになったといわれています。
九重園(村上市小国町)の通り土間と茶の間。「屏風まつり」開催時の様子
間口から入るとまず店舗、その奥に通り土間が伸びており、片側に茶の間・居間・寝間・台所の順に部屋が配置されています。茶の間には必ず神棚・仏壇があり、置かれる方向も決まっています。南北の通りでは、神棚・仏壇を北側に置き、南側に通り土間。東西の通りでは西側に神棚・仏壇を置き、東側に通り土間が通っています。
町屋の横側は隣家にふさがれ、外光が入らずに暗くなってしまうため、多くの場合は天窓や中庭を設けました。しかし、隣家の中庭に面した場所に横窓を付けるという工夫は、隣家が中庭をなくして家を建てるという改築を行うことで “開かずの窓” へ変わることもあったようです。
早撰堂(村上市大町)の茶の間。「町屋の人形さま巡り」開催時の様子
「町屋の人形さま巡り」や「春の庭 百景めぐり」、「町屋の屏風まつり」などのイベント開催中には、普段なかなか見ることができない町屋内部を見学することができるので、すすけた梁組みや柱に付いた傷など、町屋が経てきた時間の流れを感じてください。