元和6(1620)年、堀直竒(ほり なおより)により整備された城下町・村上。
新潟県最北の村上市は、城下町の四大要素(城跡・武家屋敷・町屋・寺町)が今も残る、全国的にみても希少なまちです。ここでは、城下町・村上の魅力を “四大要素” という観点からひも解いていきます。
城跡
村上城跡があるのは、城下町村上の東端にぽっこり突き出た臥牛山(がぎゅうさん)山頂です。その名の通り、牛が臥した(寝ている)ような形状の山で、地元の人々は愛情を込めて「お城山」と呼びます。標高は135メートル、村上市二之町の登り口から「七曲道(ななまがりどう)」(または「七曲がり」とも)を呼ばれる、七つのつづら折りがある山道を進むと、戦国時代に築かれた堅堀(たてぼり:山の斜面に直角に造った空堀)や虎口(こぐち:曲輪の出入り口)、江戸時代の石垣が見えてきます。いろいろな時代の遺構が混在して残る姿が貴重であると、平成5(1993)年には国指定史跡に指定されました。
武家屋敷
村上城跡を守護するように広がる武家町には、重要文化財 若林家住宅をはじめ、今なお約10棟の武家屋敷が残ります。また、皇太子殿下・雅子妃殿下(当時)のご成婚を記念して造園されたまいづる公園には、旧岩間家住宅・旧嵩岡家住宅・旧藤井家住宅の3棟の武家屋敷が移築復原されており、見学(無料)が可能です。細かく分かれた和室、つましくも美しく整えられた庭園など、往時の武家の暮らしぶりを知ることができます。
町屋
町人たちが暮らしていた旧町人町には、「町屋」と呼ばれる建物が残されており、今でも店舗や住居等として利用されています。通りに面して屋根が下がる、いわゆる平入り(切妻)の造りが特徴で、両脇の家と密着して建てられているため、一続きの家のようにも見えます。
また、旧町人町一帯には、敵の侵入の防ぐための桝形跡(街道を二度直角に曲げたもの)や武者隠しなどの工夫が見られるため、町屋巡りの際にはそれらにも注目してみてください。
寺町
村上城跡から見て、武家町から右手奥にあるのが寺町です。歴史ある寺院をはじめ、料亭や割烹なども立ち並び、曲がりくねった小路や黒塀が往時の風情を残しています。