最終工程の「毛彫り(けぼり)」。縫い針のような極細の彫刻刀を用い、細かなニュアンスを出していきます
力強さと緻密さが共在する彫り、幾度も漆を塗り重ね慎ましい光をまとわせる塗り。村上木彫堆朱の魅力は、この二つによって成り立っているといってもいいでしょう。今回は、村上市肴町の鈴木漆器店へおじゃまして、新たな取り組みやお土産に人気の商品について聞いてきました。
(取材日:2021年3月11日)
村上が誇る、伝統的工芸品の一つ
国(経済産業省)が指定する伝統的工芸品は全国に236品目(2021年1月15日時点)あり、村上市では羽越しな布と村上木彫堆朱の2品が指定を受けています。
村上では、昔から質のいい漆が採れたことに加え、江戸中期には武士のたしなみとして木彫が流行。それが町人の間にも広まって、技術が発展したといわれています。
現在では、堆朱・堆黒(ついこく)・朱溜塗(しゅだめぬり)・色漆塗(いろうるしぬり)・金磨塗(きんまぬり)・三彩彫(さんさいぼり)の6種の技法を「村上木彫堆朱」と呼んでいます。
今回伺った鈴木漆器店は昭和39(1964)年の創業、現在は2代目の鈴木伸也さんが店を継いでいます。村上では珍しく、彫りと塗りの工程を一人でこなす鈴木さん。「父(創業者の正さん)は彫師でしたが、店を持ち、自ら塗りもするようになりました。私は29歳で店に入りましたが、父とともに働き、彫りと塗りの両方やるのが自然なことでした。」
名入れで村上土産に付加価値を
鈴木伸也さん(撮影のためマスクを外しています)
店に入り、もうすぐ20年が経つ鈴木さん。伝統の村上木彫堆朱を作り続けるのと同時に、新たな漆器「SUMI・CO(すみこ)」(下記参照)の開発などにも取り組んできました。ことし3月にはレーザー彫刻機を導入、村上木彫堆朱の代表的なアイテムである箸に名入れができるようなりました。30分程で仕上がるので、その日のうちに持ち帰ることが可能です。
「うちの箸は4面のうち2面に雷紋が彫ってあり、残りの面にレーザーで名入れします」(鈴木さん)。その間は村上での観光を楽しみ、帰りに店に寄って完成品を受け取る 村上を旅した記念になる村上木彫堆朱の名入れ箸、贈り物にも喜ばれることでしょう。
【名入れ箸について】
1膳 4,400円・税込(箸3,300円+レーザー彫刻1,100円)
※箸は色(朱・黒)と長さ(23cm・21cm)が選べます。
※名入れ文字は書体(楷書体・明朝体など)と色(黒・赤・金・黄・ピンク)が選べます。
鈴木漆器店の村上木彫堆朱・漆製品
姫鏡(6,600円~・税込)
村上木彫堆朱の伝統的な図案(草花や地紋)の他に、かわいい黒猫をあしらったオリジナルの姫鏡も。使うほどにつやが増し、愛着がわく品に育っていきます。
レーザー彫り根付(1,980円・税込)
均一な線彫りはレーザーならでは。手頃な値段でお土産にもオススメです。鮭や村上大祭の屋台の輪っか(車輪)、ハマナスといった村上らしい絵柄のほか、桜や波千鳥といった普遍的なものも。全6種類。
SUMI・CO(3,980円~・税込)
本来は漆器の下地材である炭の粉。これを漆を塗ったものの上にまき、さらに漆をすり込み仕上げます。焼き物のような硬質な見た目と漆器の軽さを併せ持った新しい器。中性洗剤で洗えるので普段使いできます。
レーザー彫り根付は村上市内の下記施設でも取り扱っています。
●駅前観光案内所「むらかみ旅なび館」
●イヨボヤ会館
●おしゃぎり会館(村上市郷土資料館)
SUMI・COは下記のお取り寄せサイトからも購入可能です。
https://shop.ng-life.jp/suzukishikki/0299-001/[外部リンク]新潟直送計画
鈴木漆器店
所在地 村上市肴町8-10
電話番号 0254-52-4443
営業時間 9:00~17:00
定休日 不定休
公式サイト http://suzukishikki.jimdo.com