出来立ての塩は少し黄みがかっていますが、水分が抜けると新雪のような純白に変わります
新潟県一の広さを誇り、長い海岸線を有する村上市。とりわけ北部の海は美しく、沿岸にはその海水で塩を作る工房が点在しています。
今回おじゃましたミネラル工房は、村上市街地から車で約1時間ほど北上した、国道7号沿いの山形県境付近にあります。工房の前には、海の底まで見える透明度の高い海。この海の結晶たる塩は、高名なシェフをはじめ多くの人から支持されています。
(取材日:2021年7月19日)
目前の海と後背の山からの恵み
ミネラル工房があるのは村上の最北端、車をもう1~2分も走らせれば山形県鶴岡市、俳人・松尾芭蕉も越えた鼠ヶ関(ねずがせき)へと至ります。
工房の目の前には、大小さまざまな岩が突き出る日本海。穏やかな日には海水も澄み、海底で揺れる海藻の様子も分かるほどです。
そして、工房の後ろには鬱蒼たる雑木の山。ミネラル工房の代表・富樫秀一さんは、この山を仰ぎ見て「この山からの水がうちの塩のうまさになるんです」と話します。
富樫秀一さん(撮影のためマスクを外しています)
手つかずで多様な木々が茂る山は、土壌が肥えていて養分(ミネラル等)も豊富です。この養分が雨水に溶け出し、沢水となって目の前の海へ注ぎます。山の養分が運ばれた海は、そこに暮らすあらゆる生物を育みます。
話しを海水に戻し、山の養分が豊富な海水は、煮詰めていくと複雑で奥行きのある、味わい深い塩になります。ミネラル工房の塩は、海と山とに恵まれたこの地の結晶、まさに“白いダイヤ”です。
“白いダイヤ”が出来るまで
ミネラル工房の塩作りは、目の前の海から海水をくみ上げるところから始まります。
濃縮釜で海水を炊き、約8倍の塩分濃度になるまで煮詰めていきます。
焚き木には建築廃材等を用い、約14時間かけて濃度を上げていきます。
濃縮した塩水を一晩寝かせ、沈殿した石灰分などの不純物(写真下部に沈んだ結晶)を取り除き、上澄み(母液)をさらに濃縮していきます。
母液を入れた平釜を湯せんにかけ、さらに煮詰めます(平釜式煎ごう製法)。
結晶化した塩をすくい上げ、水気を切ればようやく完成です。
湯せんにより低温でゆっくりと結晶化した塩は、舌触りが柔らかく甘みが感じられます。また、ミネラルの比重を上げる工房独自の製法により、複雑なうま味も加わり、塩味の中においしさを内包した塩になるのです。
ミネラル工房 こだわりの塩
白いダイヤ(100g 648円/300g 1,080円・ともに税込)
ミネラル工房の主力であり、一番人気の塩です。まろやかな塩味の中にうま味が包含されており、普段の料理に使えば、さらにそのおいしさを押し上げてくれることでしょう。まずは指先で優しくすりつぶし、塩のうま味を確かめてください。
越後金色(80g 540円・税込)
ミネラル分を多く含み、深みのある味わいが特徴です。天ぷらや肉料理のつけ塩として。大豆製品とも相性がいいので、しょうゆの代わりに納豆に混ぜたり、冷ややっこや油揚げの焼いたものに付けてもおいしいです。
フラワーソルト(各12g 350円・税込)
(左から)
●ストック、ナデシコ[赤系]
●ビオラ、ネモフィラ、ナデシコ[青系]
●マリーゴールド、キンセンカ[黄系]
※季節により花の種類や組み合わせが変わります
「白いダイヤ」に脇坂園芸(阿賀野市)のエディブルフラワー(食用花)を乾燥させたものが入っています。オリーブオイルと相性がいいのでカルパッチョやカプレーゼに。塩むすびに使えば見た目もパッと華やかになります。
上記商品は工房併設の売店のほか、市内「道の駅」や観光案内所、土産物店、宿泊施設や観光施設の売店等でも取り扱っています。
※一部商品のみの場合があります
<主な取扱店>
●道の駅 笹川流れ(夕日会館)
●駅前観光案内所「むらかみ旅なび館」
●又上 岩船本店
●地酒の店 たむら
●JAふれあい市 よれっしゃ・こいっちゃ
また、公式サイトでお取り寄せも可能です。
http://www.shiroi-diya.com/webshop/
創業から間もなく20年を迎えるミネラル工房。そのおいしさは口コミなどによって広まり、今では全国の名だたるシェフからも求められるまでになりました。村上市最北の海と山からの恵み、じっくりと時間をかけて作られる結晶“白いダイヤ”をぜひご賞味ください。
ミネラル工房
所在地 村上市中浜1076-2
電話番号 0254-77-2993
営業時間 9:00~17:00
定休日 火曜日、第2水曜日(定休日が祝日の際は営業、翌日代休)、年末年始
公式サイト http://www.shiroi-diya.com/