むらかみやげ むらかみやげ

新潟県村上市で生まれ
全国・世界で愛されている逸品の数々。
作り手の情熱、商品に込められた想い
などとともに紹介します。

 


記事中で紹介している商品価格・店舗情報等は
取材当時のものです。あらかじめご了承ください。

 

 

こちらもご覧ください!
もらってうれしい・贈って喜ばれる
村上の定番土産といえばコレ!

 

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2021/12/05

山上染物店

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町屋らしい、細長い造りの作業場。その最深部にある板場で注染手ぬぐいの「糊置き」の作業

昔ながらの町屋で代々の商いを続ける老舗が村上市内には点在します。村上市肴町の山上染物店(やまがみそめものてん)もその一つ。創業は寛文年間(1661~1673)といわれ、現当主で13代目という老舗染物店です。

今、仕事の多くを引き継いでいるのは13代目の娘・山上あづささん。伝統産業のまち・京都で染色を学び、その後も染織作家の下で内弟子として働いて技術を磨きました。生家に戻ってからは、父とともに歴史ある家業を担っています。今回はその仕事場におじゃまさせてもらいました。
(2021年11月4日)

 

注染手ぬぐいが出来るまで


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作業場を案内してくれたあづささん。見せてもらったのは、手ぬぐいを注染(ちゅうせん)という技法で染める作業。注染手ぬぐいは山上染物店の人気商品の一つです。

 

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まずは糊置き(のりおき)の作業から。用意する木綿布は1疋(2反[1反は約12メートル]分の長さ)。それを板場に広げて型を置き、防染糊(ぼうせんのり)*を均一に延ばして塗ります。
*米ぬか等を用いた染料を通さない特殊なのり

 

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型を外して布を置き、型を戻してまたのりを塗る。これを何度も繰り返します。

 

少しのずれもないよう正確に、淡々と、リズムよく作業は続きます。

 

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1疋分の木綿布の糊置きが終わったら、表と裏に挽粉*を振りかけます。挽粉には、のりの表面を保護する役目があります。
*おがくずをふるいにかけたもの。山上染物店の挽粉は、斜め向かいのゑびす屋から分けてもらっている

 

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続いて、いよいよ注染へ。染台に布を置き、熱した染料を口の細長いじょうろを使って注ぎます。幾重にも折り重なった木綿布にも、しっかりと染料が行き渡るよう、何度も染料を注ぎかけます。

布の織糸そのもの染める注染という技法は、一枚の手ぬぐいでも表裏なく染まるのが特徴です。

 

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裏に返して、さらに染料を注ぎます。

 

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のりを水で洗い流すと、染まった部分がくっきり見えてきます。この後は、脱水・乾燥・仕上げ・裁断をすれば完成です。

 

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この日染めた手ぬぐいは、あづささんが「ネコぎっしり手ぬぐい」と呼ぶ自作の型。手ぬぐい1枚に80匹ものネコが描かれています。ネコ好きのあづささんらしい、とてもキュートな柄です。

 

暮らしの中に手仕事を


あづささんが歴史ある染物屋を継いで20年以上。家業を継ぐよう強要されたことも、自身が強く願い出ることもなかったと彼女は言います。店と住居が一体の町屋に育ち、染物がすぐそばにある暮らしの中で「ゆるゆると。」(本人談)現在に至ったそうです。

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作業場の窓にはさまざまな型紙が飾られ、まるでステンドグラスのよう

京都から戻って以来、店では父と娘がそれぞれの仕事を一人で一貫して行っています。「小さな店なので、作りたいものにすぐ取り組めるのはいいところ」とあづささん。これからも時代に即した染物と、暮らしの中で大切にできる手仕事をつくり続けたいと話します。人の手によるものが持つ“あたたかさ”や“揺らぎのある美しさ”、それが日々を彩ること。あづささんはそういう染物を作り続けたいと話します。

 

山上染物店 人気のおみやげ


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注染手ぬぐい(1枚 1,100円・税込)

伝統的な染色技法の一つ、注染で染めた手ぬぐい。型は、かつて山上染物店が着物の生地を染めていた頃に使用していた歴史あるものから、あづささんが手掛けた新作までさまざま。その時々で品ぞろえも変わります。

 

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切り絵はがき(1枚 110円・税込)
(左上から時計回りに)親不孝坂、西奈彌羽黒神社、常盤園、大川屋製材所、治五右ェ門通り

切り絵作家としての顔も持つあづささん。春・秋の人気イベント、町屋の人形さま巡り(例年3/1~4/3)町屋の屏風まつり(例年9/15~10/15)のチラシの切り絵も手掛けています。切り絵のモチーフは、村上らしい町屋や小路など。旅の記念になる一枚です。

 

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北限の茶染 こりこりタオル(1,100円・税込)

綿と絹とで織られた今治産タオルを村上茶で染めたボディータオル。天然素材100%で、絹の極太糸のコリコリとした刺激が心地よく、美肌効果も期待できます。

 

上記以外にも、ネットショップでは村上大祭で屋台を引く町内の代紋を染め抜いた布製マスクを販売しています。
https://yamagamisome.theshop.jp/

 

また、山上染物店では村上ならではの「北限の茶染体験」が楽しめます。

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ハンカチ(写真:東海林渉)

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型染フレーム

村上茶の粉茶を使い、ハンカチの絞り染めや写真立てに入れる帆布を型染する「型染フレーム」の2種類が楽しめます。作品は同日に持ち帰り可能、村上を旅した記念にもなるアクティビティです。
※体験希望日の1週間前までに予約が必要です
※詳細はhttps://www.sake3.com/spot/816(北限の茶染体験)をご覧ください

 

 

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山上染物店
所在地
 村上市肴町2-17
電話番号 0254-52-3570
営業時間 9:00~17:00
定休日 水曜日、第4日曜日
駐車場 1台

公式サイト
http://www.yamagami-some.com/

 

2019/02/12

藤井折箱屋

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2016年、村上商工会議所青年部で出会った男性5人が
それぞれの分野で協力し合い、素敵な箸を生み出しました。

その箸の名前は「越後村上 むすび箸」。
遠く隔たった地域を結び、食と人、人と人とを結ぶ箸    

むすび箸の詳しい解説は後ほどにして。
今回は、むすび箸誕生に関わった一人・藤井和徳さんの店
藤井折箱屋を訪ねました。

 

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「折箱」という言葉に、なじみのない方もいると思います。

折箱とは、薄い板やボール紙等を折り曲げて作る箱のこと。
藤井折箱屋は、村上市小国町で四代続く折箱の老舗です。
店では紙製折箱の製造販売、のし袋や弁当容器等を販売しています。

現在の店主、藤井和徳さんは41歳。今から14年前に家業を継ぎました。
小学生の頃から仕事を手伝い、いつかは店を継ぐものと思っていたそう。
店を継いでからは「家業にとらわれない仕事をしたい」と考え
そんな中で青年部の仲間と出会いました。

仲間とは、大川屋製材所(村上市塩町)の菅原保さん
Woodbox Tera(村上市若葉町)の寺澤尚隆さん
カエツ塗装(村上市新町)の遠藤力さん
エイコーンクリエイト(村上市小町)の瀬賀真亮さん

ここに藤井和徳さんが加わり、5人でのむすび箸作りがスタートします。

 

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「越後村上 むすび箸」の原材料は、村上産越後杉です。
村上産越後杉は、新潟県内で生産される杉材の約半分を担い
四季のはっきりした村上で育った杉材は、高い強度としなやかさがあり
他の有名ブランドに劣らぬ性能をもつとされています。

しかし、近年は林業従事者の高齢化や担い手不足が深刻化。
山の荒廃が進んでいます。

村上産越後杉を住宅用材として扱う大川屋製材所の菅原保さんは
杉が育つ山(川上)と人々が暮らす場所(川下)を結ぶ一業者として
川上と川下の関係がより親密になるきっかけの一つとして
村上産越後杉を使った箸作りを考えます。

この計画に賛同した5人が、自分たちの生業分野で協力することに。
川上と川下を結び、村上の食と人を結び、人と人を結ぶ箸。
むすび箸には、林業振興や地域経済活性化といった願いが込められています。

 

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越後村上 むすび箸
写真下)柿渋塗装・蜜ろうワックス仕上げ「絆」(1,350円・税込)
写真上)無塗装・超仕上げ「結」(1,620円・税込)
※価格は2019年2月現在のものです

大川屋製材所が製材した村上産越後杉を、Woodbox Teraが木取り・かんながけし、カエツ塗装が塗装と仕上げを担当。エイコーンクリエイトがパッケージや販促物を、藤井折箱屋が贈答用の箱を作製しています。村上産越後杉の柔らかな触感と木の香り、職人が手掛けることでさらに磨き上げられた使い勝手の良さが特長。使うほどに手になじみ、風合いが増していきます。

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贈答用の包装や箸への文字入れもできます。
詳しくはお問い合わせください。

 

村上産越後杉という村上ならではの材を用いた箸。
村上を訪れた記念に、お土産にとしてはもちろん、ご自身へもオススメです。

 

さて、ここからは藤井折箱屋のオリジナル商品を紹介していきます。

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ひな人形(大サイズ4,280円、中・小サイズ1,840円 ともに税込)
※写真は大サイズです
※価格は2019年2月現在のものです

村上在住の人形作家が手掛けた、手作りのすわりびな(お内裏様・お雛様)に
藤井折箱屋オリジナルの屏風・台座がセットになっています。

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人形のサイズは大・中・小の3種類。
お内裏様とお雛様の組み合わせは自由に選べます。
屏風もさまざまな柄が用意されているので
気に入った組み合わせを探してください。

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また、人形の収納ボックス(別売)を使って、写真のように飾ることもできます。

 

ひな人形は、町屋の人形さま巡り(毎年3/1~4/3)と町屋の屏風まつり(毎年9/15~10/15)の開催期間中に販売します。自身へのお土産としてももちろん、還暦や古希といった年祝い、銀婚式等の結婚周年祝いとして買い求められる方も多いとのこと。

 

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土瓶(550円・税込)
※価格は2019年2月現在のものです

ひな人形と同じ作家が手掛ける布製の土瓶。
コロンとしたフォルムと素朴な柄が愛らしい手作りの品です。
藤井折箱屋オリジナル屏風・台紙付き(790円・税込)もあります。

 

普段の生活では、あまり触れることのない折箱の世界。
しかし、その扉を開けてみれば、人の手が作り出す温かな世界がありました。

ひな人形をしまう、むすび箸を包む、丁寧に作られた「箱」。
こちらにもどうぞ注目してください。

 

 

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藤井折箱屋
所在地 村上市小国町1-8
電話番号 0254-52-2717
営業時間 9:00~17:00 
定休日 不定休

 

2018/04/19

朝日シルクフラワー製作工房

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さまざまな色に染め上げられた楕円形の物体。
これが何か分かりますか?

実はこれ、蚕(かいこ)の繭なんです。

本来は絹糸ととなり、正絹の原料になる繭ですが
今回は、このカラフルな繭から生まれるアクセサリーを紹介します。

                                    

村上市桧原は、古くから養蚕が盛んな土地でした。しかし、戦後~高度経済成長期の化学繊維の発達により、日本国内の養蚕農家は急速に数を減らしていきます。

 

この土地の養蚕を残したい    
桧原で養蚕に携わっていたお母ちゃんたちは県外へ研修に向かい、そこでシルクフラワー(繭で作られた造花)に出合います。

 

シルクフラワーに出合って感じた、繭にはまた可能性があるという思い。
この思いを胸に、19人のお母ちゃんが集まって1986年に朝日村まゆの花の会を発足。1995年には、会の活動拠点として、朝日みどりの里の敷地内に朝日シルクフラワー製作工房が建てられました。

 

現在、朝日村まゆの花の会の会員は18人。内、養蚕農家は7人です。
平均年齢は69.8歳と少々(?)高め。でもそこに昨年、地域おこし協力隊として細井幹子(もとこ)さんが加わりました。彼女が加わったことで、これまでの会の活動や作品にも新しい変化が起きています。

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こちらが細井幹子さん。幼い頃から手芸が得意で、自ら「ハマると極めたいタイプ」と話します。繭の特性(軽くてしなやか)を生かしたピアスなどのアクセサリーを多く手掛け、その販売をハンドメイド作品の通販サイトで行うことにしました。これまでシルクフラワーを知らなかった若い世代にも、作品のかわいらしさ・美しさを直接訴えることができ、着実にファンを増やしています。

 

それでは、細井さんが手掛けたアクセサリーの一部をご覧ください。

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ピアス・イヤリング
ドロップ型のカッティングで、着ける人の動きでひらひらと揺れるタイプや四季の花を表現したものなど、種類も豊富にそろっています。シルクフラワーは素材として軽く、発色も美しいため、耳元が華やぎます。

ピアスからイヤリングに…といった金具の変更も可能*とのこと。
※工房での購入の場合のみ。対応できない場合もあります

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バレッタ
桜やアジサイといった、季節の花を並べた小ぶりのバレッタ。
ちょっとしたプレゼントにいかがでしょう。

 

ピアスやイヤリング、バレッタ、ネックレス、コサージュといったアクセサリーは、ハンドメイド作品の通販サイト Creema(クリーマ)をご覧ください。
※工房でも販売していますが、ネット販売の内容と異なる場合があります

 

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フラワーアレンジメント
シルクフラワーの定番商品、フラワーアレンジメント。写真のようなものの他、フラワーフレームやブーケといったさまざまな形があります。特別な手入れが不要で、色あせも少なく、贈り物に人気です。

 

フラワーアレンジメントやシルクフラワー製作キットは、朝日シルクフラワー製作工房で取り扱っています。製作キットを用いた体験教室も随時行っているので、興味のある方は工房をお訪ねください。

 

養蚕農家のお母ちゃんたちが守り続けた、村上市桧原の繭の文化。これまでは地道な活動で広がっていたものが、若い力を得て全国、そして世界へ広まりつつあります。

繭がもつ普遍的な魅力は、実際に見て・触れて感じてください。

 

 

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朝日シルクフラワー製作工房
所在地 村上市猿沢1215
電話番号 0254-72-0387
営業時間 9:00~17:00
定休日 月曜日、年末年始
アクセサリーに関してはこちら …Creema
フラワーアレンジメントや製作キットに関してはこちら …朝日村まゆの花の会

 

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