日本各地で、今も脈々と受け継がれている古代布*。新潟県の北端・村上市のさらに端、山形県との県境に位置する山あいの集落、雷(いかづち)・山熊田(やまくまだ)では、現在もしな布*という古代布が織られています。
*古代布 …綿織物普及以前のその土地に自生する植物から作られた布のこと。
*しな布 …シナノキの皮で織られた古代布の一つ。
しな布の歴史はとても古く、延喜式*の貢物に「信濃(しな)布」と記されていることから、そのころには、すでに織られていたと考えられています。
*平安時代中期に編纂された法令集。
現在では、先に書いた村上市雷と山熊田。そして、山形県鶴岡市関川の3カ所でのみ織られています。2005年には、経済産業省の伝統的工芸品にも指定され、産地である羽前(山形県庄内地方)の【羽】と越後(新潟県)の【越】を合わせて【羽越しな布】と呼ばれています。
しな布の歴史、しな布が出来るまでの工程等は下記をご覧ください。
>>> 羽越しな布
今回、しな布の製品を紹介するにあたり村上市山熊田のさんぽく生業の里へ向かいました。ここでは、かつては農閑期の仕事であったしな布作りの様子が、一年を通して見学・体験*できます。
*各種体験は事前予約が必要です。
さんぽく生業の里で働くのは、山熊田のお母さんたち。機織(はたおり)をするのは大滝栄子さん(写真上)。糸車を回すのは大滝ムツ子さん(写真下)です。二人とも、生まれも育ちも山熊田。70を越す齢ですが、しな布と向き合う姿は凛としています。
山北商工会の事務局長として、さんぽく生業の里の立ち上げに尽力し、平成12(2000)年の設立以降は、口下手な山熊田のお母さんたちに代わり、支配人として施設の営業・外交等を担当する國井千寿子さん。彼女にしな布の魅力について聞くと、自身が普段使っている小物類を見せてくれました。
左上から、眼鏡ケース、ペンケース、名刺入れです。どれも10年以上使っているとのこと。「頑丈ではないけれど、しなやか。使うことで赤みが増し、柔らかくなっていきます」。確かに、國井さんが使っているしな布の小物は、すべすべと触り心地が良く、ぬくもりが感じられる色合いです。人の手が触れるたび、しなやかに柔らかくなるしな布。その変化こそが、しな布の魅力なのかもしれません。
それでは、さんぽく生業の里で扱う、しな布製品を紹介します。
(写真上から)
ペンケース(3,500円・税込)
ポーチ(4,500円・税込)
はじめてしな布を持つのなら、手ごろなペンケースやポーチがオススメ。使うたび手になじんでゆき、愛着を持って使い続けられることでしょう。赤の染めが施されたものには、山北特産の赤カブが描かれています。
ぐい呑み入れ(4,000円・税込)
※ぐい呑みは含まれません
ぐい呑みを入れて、持ち運ぶための小さな巾着袋です。日本酒が好きな方へ、ぐい呑みと一緒にプレゼントしたら喜ばれそう。小物入れとして使っても素敵です。
テーブルセンター(1枚 10,800円・税込)
普段の食卓に彩りを添える、しな布のテーブルセンター。素朴な風合いは、和・洋どちらにもマッチします。経年による変化も楽しめる一枚です。
上記の他にも、名刺入れや小銭入れ、印鑑ケースといった小品。持ち手に村上木彫堆朱を施したバッグや帽子といった芸術品のような製品も置いています。
また、製品の一部は下記店舗でも取り扱っています。
●堆朱のふじい
●道の駅 笹川流れ 夕日会館
●駅前観光案内所「むらかみ旅なび館」
悠久のときを超え、今なお紡ぎ織られる古代布・しな布。現在は作り手の高齢化も進み、その存在はさらに貴重なものになりつつあります。
ぜひ一度、しな布の故郷・山熊田を訪ねてみてください。そして、しな布をはじめとした山間集落・山熊田のなりわいを体験してください。
しな布に触れ、それに携わる人たちと触れ合い、しな布や山熊田の奥深い魅力を知っていただければと思います。
さんぽく生業の里
所在地 村上市山熊田325
電話番号 0254-76-2115
営業時間 8:30~17:00
定休日 お盆(8/12~20)、年末年始(12/29~1/7)、春分の日、秋分の日、11/4
公式サイト >>> http://www.iwafune.ne.jp/~sanpokusho/kaiin/nariwai/nariwainosato.html