村上市小町の千年鮭きっかわ 井筒屋[せんねんざけきっかわ いづつや]におじゃましました。今回は、村上の鮭の伝統料理大好きトリオでランチです。
千年鮭きっかわ 井筒屋
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井筒屋は、村上市役所近くの越後村上 町屋通りの一角にあります。現在の建物は、主屋は明治時代に建てられたもので、外観や内部も古き時代を感じる、村上の町屋造りの建物です。
越後村上 町屋通り
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小町には旅籠屋(はたごや/宿)が多く立ち並んでいたようで、江戸時代には松尾芭蕉と曽良が「奥の細道」の途中に、井筒屋の場所にあった建物に2泊していることが記録に残っています。詳しくは店舗入り口付近に設置してある看板に書かれています。そして、その後も平成の時代まで宿として経営されていた歴史があります。
当日は、平日のオープン直後にもかかわらずお客様がいっぱいでした。事前に予約していた私たちは2階の一室に案内されました。読者の皆様には、予約をしていくことをオススメいたします。
食事はメニューを見てから決めました。
少食の私は鮭料理 八品と単品メニュー「鮭のほっぺた」を。5656Pさんは珍味中の珍味「鮭のきそ」を食べてみたいと鮭料理 十四品、すがいなおさんは極上・豪快はらこ丼を注文しました。
料理を待っていると、最初に運ばれてきたのは土鍋炊きのごはんでした。私たちの到着に合わせて炊かれており、しばらくの間は「蒸らし」のため、ふたをしたまま置かれていました。
そのうちに次々といろいろな鮭料理(&卓上用の七輪)が運ばれてきました。一品ずつ料理の説明をしてくれます。
頃合いを見て土鍋のふたが取られ、蒸気とともに新米ごはんのおいしそうな香りがしてきました。スタッフが茶碗(写真ははらこ丼用の丼)にごはんをよそい、食事が始まります。お米は近隣の米作り名人と契約しているそうです。
私のオーダーはこちら。
鮭料理 八品(2,475円・税込)
●鮭の酒びたし
●鮭手まり寿司
●鮭の白子の寒風干し
●酒びたしの皮 おどり焼き
●鮭の焼漬
●はらこの味噌漬
●鮭のかぶと煮
●塩引鮭
・土鍋炊きごはん
・だし(村上茶+生揚醤油+鰹節)
・薬味(三つ葉・海苔・漬物)
・ひとくち甘酒
鮭のほっぺた(660円・税込)
個々の料理を食べた感想をレポートします。
鮭の酒びたし
「塩を引いた鮭を、村上の寒風で約1年かけて乾かして切ったものです。村上では酒に浸して召し上がるのが一般的ですが、当店ではそのままお召し上がりください」との案内でした。
短冊切りの酒びたしは、長さ約5cm・幅約1cm・厚さは1mm程度でしょうか。熟成している色だと思います。食べてみると歯応えがあり、かむごとに塩味の深いうま味が出てくるように思いました。
酒びたしの皮 おどり焼き
鮭の酒びたしとともに約1年かけて干したもの。皮まで大切に味わい尽くそうという心が伝わってきます。約5cm四方くらいでしょうか、上部はつなげたまま、幅5mmくらいの間隔で切れ目が入っています。
「炭火であぶり、手で裂いてお召し上がりください」との案内で、七輪にのせて炙ったところ、くるくると回りながら短時間で焼かれていき、焦げる前に手で裂いて食べました。珍味で酒のあてにもいいと思いました。一般的に、鮭の皮は硬いイメージをお持ちの方が多いと思いますが、とても柔らかでした。
鮭手まり寿司
鮭の生ハムが巻かれたひと口大の寿司。「鮭の生ハムは2ヵ月寒風で干し、その後は半年かけて低温熟成させたものです」との案内でした。鮭の生ハムは、口の中で何とも言えない優しさを感じるような味でした。酸っぱくなく、甘みがありました。
鮭の白子の寒風干し
みそ味ですが、食感はキャラメルのようにねっちりしていました。
鮭の焼漬
小さくサイコロ切りされた鮭は、しょっぱみが少なく、薄味で上品なしょうゆ味でした。
はらこの味噌漬
うっすらとみそ味を感じるのですが、それ以上にはらこに甘みがあるようでした。
鮭のかぶと煮
どうしたらこんなに上品な甘みのある味になるのでしょうか。適度な堅さがあるのに、口の中でとろけていくようでした。
塩引鮭
切り身が二つありました。「炭火で2分で焼けます」の案内を聞いて、そんな短時間で焼けるの?と思いましたが、実際2分で焼けました。一切れは白いごはんで食べました。ごはんが進むちょうどよい塩加減でおいしかった。もう一切れはお茶漬けにして食べました。だし汁(村上茶+生揚醤油+鰹節)が塩引鮭のほぐし身と絶妙なバランスで、うま味が増したように感じました。
鮭のほっぺた
柔らかさのある乾きです。甘い塩味で、感覚的にはホタテのような肉質に感じます。炭火で焼いて、手で裂いて食べてみました。手で裂いて食べると格別な味になるような気がします。一匹の鮭から、ほんの少ししか取れないことを知っているので、食べていても鮭に対して感謝の気持ちが湧いてきます。
お次は5656Pさん。
鮭料理 十四品(4,620円・税込)
●鮭の酒びたし
●鮭手まり寿司
●鮭の白子の寒風干し
●酒びたしの皮 おどり焼き
●鮭の焼漬
●はらこの味噌漬
●鮭のかぶと煮
●鮭の生ハム
●鮭の白子煮
●鮭昆布巻
●鮭の飯寿司(いずし)
●鮭のきそ
●鮭の中骨煮
●塩引鮭
・土鍋炊きごはん
・だし(村上茶+生揚醤油+鰹節)
・薬味(三つ葉・海苔・漬物)
・ひとくち甘酒
鮭のきそ
村上で暮らしていても「鮭のきそ」は食べたことがない。今回はぜひ食べてみたいと鮭料理 十四品を選びました。「鮭のきそ」は、鮭の身とはらこ、麹と塩と植物のアザミが入っていて、2年間熟成したものとのこと。昔、村上から朝廷に納めたものを、千年鮭 きっかわの先代が再現したそうです。見た目はみそのようですが、食べると濃厚なうま味で、味に深みや厚みがあり、アザミのちょっとした苦みも最後に感じられました。ぜひ一度食べてみてほしい一品です。
千年鮭 きっかわ
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鮭昆布巻
歯舞(はぼまい)産の昆布を使ったものでおいしい! ずっと食べていたい一品でした。
鮭の飯寿司
最初はシャーベット状で出てきますが、他の料理を食べ進めているうちにだんだんと自然解凍され、食べる頃にはちょうどよくいただけます。これは計算しているのかな? 千年鮭 きっかわの甘くておいしい麹が、飯寿司のおいしさを引き立てています。
ひとくち甘酒
砂糖が入っていないのに、とっても甘くておいしいです。
今回は14品と多めの鮭料理を選んでみましたが、どれもこだわりをもって作られていて、心と体で味わえました。食べ方・炙り方・焼き方など、おいしく味わうためのポイントやどのように作られた料理か、14品一つ一つに丁寧な説明があり、手間暇かけて作られている料理の数々にとても感心しました。
鮭料理 十四品には次のような料理も付いています。
鮭の生ハム
鮭の白子煮
鮭の中骨煮
最後にすがいなおさん。
極上・豪快はらこ丼(3,895円・税込)
●はらこ丼
●鮭手まり寿司
●鮭の白子の寒風干し
●塩引鮭
●鮭のかぶと煮
●鮭の焼漬
●漬物
●だし(村上茶+生揚醤油+鰹節)
●ひとくち甘酒
現在開催中の「村上はらこ丼フェスティバル」のメニューでもあるこちら。以前から食べてみたいなぁと思っていました。今回は、清水の舞台からダイブする気分で注文しましたよ。
土鍋で炊いたふっくら艶々ごはんに、小鉢いっぱいのはらこをドバドバかけちゃう背徳感。ごはんが見えなくなるまでかけちゃうもんね、ウヒヒ。
このはらこ、千年鮭 きっかわの職人がひと腹ひと腹選別し、最上級と認めた大粒のものだけを使っているそうです。それはもう、今まで私が食べてきたはらことは別物ですよ。皮はあくまで柔らかく、舌や歯に当たるとプチンと破れて、うま味がブワワッとあふれます。
この季節だけ、鮭のまち・村上ならではの美味! はらこ好きな方にはぜひご賞味いただきたい絶品です。
日頃、自宅では作ることが出来ないような鮭料理を堪能することができ、幸せな時間を過ごすことができました。皆様もぜひお出かけください。
千年鮭きっかわ 井筒屋
https://www.sake3.com/spot/3798
所在地 村上市小町1-12
電話番号 0254-53-7700
営業時間 11:00~14:00(Lo)
定休日 年末年始
駐車場 3台
公式サイト
https://www.murakamiidutsuya.com/