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昔のことせ! ~村上むかし語り~ 昔のことせ! ~村上むかし語り~

当コンテンツは村上商工会議所が毎月発行する
「むらかみ商工会議所ニュース」で連載中の
『村上市史異聞』を転載したものです。

 

 

著者である大場喜代司さんが
村上の昔のことを、あれやこれやと語ります。

 
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著者の郷土史研究家・大場喜代司さんが
2024年3月27日にご逝去されました。
村上市の郷土史研究に多大な功績を残された
大場先生のご冥福をお祈り申し上げます。
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2008~2015年に書かれたものはこちら。

2019/11/01

130 古写真に見る大正時代の村上の街並み(10)

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安良町(あらまち)の北側の家並みの一角にあった一景観で、屋根に上がった看板の文字からして看板屋であることは紛れもない。正面には「諸看板製造所」とあり、その左には「銅太屋」と掲げてある。

 

写真のキャプション(説明)には、「ペンキ塗一式美術看板」とあり、道路に面したガラス戸には「鋼鉄ブリキ細工」と縦書きの文字が読み取れる。おそらく村上町の看板は、この銅太屋看板が一手に注文を受けていたものであろう。既述の自転車店3軒は、まさしく銅太の製作であったろう。

 

店の前の集合写真は、銅太の家族と従業の職人であろう。鉢巻きを締めて、ドンブリ前掛にパッチに法被姿の人物もいる。ドンブリは共布の大きな物入れのことで、パッチは股引きで江戸では絹製、関西では綿製で、いずれも職人が用いた。現在、村上では祭りの際に用いられているが木綿製である。中央の男性が被っている帽子を「カンカン帽」といい、麦わらを編んだ帽子で、大正から昭和初期にはやった風俗である。

 

陽射しの陰からペンキの匂いが漂い、虚空で埃と雑(ま)じり合い、消えていった。

 

 

 

大場喜代司
『むらかみ商工会議所ニュース』(2018年11月号掲載)村上市史異聞 より

 

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