度量衡三器修覆販賣人 味噌醤油製造元
南東から北西へとまち並みが延び、その途上に岩船町の商店街が軒を並べている。古くは旅籠屋街でもあったが、はたして何軒の旅籠屋があったのかは知る由もない。
写真の家の母屋は、海浜街によく見られる建築様式で、表通りに面して妻入りの屋根である。府屋(ふや)や瀬波にこの様式が残り、新潟県内での代表は出雲崎(いずもざき)の街地に見ることができる。屋根材は、左奥の家屋も同様、石置きである。
右端に見えるのは、一段高いところからして3階の一部であろうか。左右の張り出しは店舗であろうか、味噌醤油製造(みそしょうゆせいぞう)と度量衡(どりょうこう)三器修覆販賣人(さんきしゅうふくはんばいにん)とあることからして、それらの商品の扱いを、その店舗でしていたものか。
度量衡とは、長さと重さと体積のことで、それをはかる道具のことをいう。もっと平べったくいえば、秤(はかり)や桝(ます)、物差しのことである。
下屋の上部は、庭木の梢に覆われているようであるが、不鮮明な画像ゆえ判然としない。内部は植え込みの坪庭になり、表通りとは板塀で仕切っていたように見える。
大場喜代司
『むらかみ商工会議所ニュース』(2019年6月号掲載)村上市史異聞 より